面接者 必見!『人事が拾う履歴書、聞く面接』まとめ

今まで、100人以上の採用担当者に取材をしてきた著者の経験から、採用面接試験の裏側について書かれた本。面接を受ける方はもちろん、面接を行う方も参考になる内容である。

 

『人事が拾う履歴書、聞く面接』 佐藤 留美

すべての質問は、この3つの変化球である


 

・「学生時代に頑張ったことは何ですか?」

 

・「そのとき、どんな困難がありましたか?」

 

・「それをどのように克服しましたか?」

 

企業は、学生のコミュニケーション能力や主体性、協調性、チャレンジ精神をどのように見分けているのか?

多くの人事担当者に聞いた話を総括すると、昔も今も定番中の定番であるこの3つの質問でカタが付く。

 

これらの解答を聞けば(読めば)、その学生のやる気、コミュニケーション能力や主体性、協調性、チャレンジ精神などはだいたいわかるのだと言う。


何度でも言うが、日本の新卒一括採用は純粋な実力試験でも何でもないし、企業は新卒者に即戦力を求めてなどいない

 

つまり、あらゆる質問には、あらかじめ用意しておいた自分の「成長物語」や「挫折乗り越え話」に結びつければ、人事担当者の反応も悪くなく、有利に働くというわけだ。

 

では、具体的に、どのようにストーリーを構成したらいいのか?

基本は、5W1Hでストーリーを組み立て、自分はその経験により何を学んだのか?その主観を強調すべきというのが、多くの採用担当者の回答だ。

内定18社!「内定の女王」の秘密とは


会社は「普通の人」こそがほしい

小難しいことを考えずとも、実際には内定をサクサクと勝ち取ってしまう人がいる。

それは一体どのような人なのだろうか?

国営放送に、有名広告代理店、一流メーカー、メガバンク、有名ネット企業……など業種と職種もまるで違う会社から、「もらった内定は18社」という女性に会ったときは、本当に驚いた。


「内定の女王」みたいな人はてっきり、異常なほどの美人で、異様に頭がキレるスーパー才人のような人だと思い込んでいたのだ。

ところが、彼女は、喋り方も控え目で自己主張が強くなく、聞かれた質問ににこやかに誠実に答える人という印象。しかも、その返答が必ずしも面白いわけではなく、際立った個性は感じられなかった。彼女は、いわゆる「普通の人」だった。


だが、彼女と話していると不思議と、いつまでも喋っていたくなるほど、妙に心地がいいのだ。話す量、内容、テンション(明るさ)、礼儀正しさのさじ加減がすべて適切、適量で、どこにも違和感を抱かないのである。

そして、それこそ彼女が「内定の女王」たる由縁だと思った。

チームワークを尊ぶ日本の会社は、まさしく彼女のような、人間として信頼できそうな、仲間として一緒に働きたくなるような、いい意味で「普通の人」こそがほしいのだ、と。

新卒採用選考は実力試験ではない

結局、私は、彼女を俎上に載せて、何が言いたいのか?

それは、ESや面接では奇を衒わず、普通であるのが一番いいということだ。


そして自分にとっての「普通」と、受ける会社によっての「普通」は、まるで違ったり、食い違うこともある。だったら、それは合わなかっただけのこと。何度も言うように、日本の会社に入るということは、その会社とメンバーシップ契約を結ぶこと。

その会社の普通、その会社のメンバーとの普通と自分の普通が合わなければ、たとえメンバー入りしたとしても、次第に激しい違和感を覚えて、居心地が悪くなり、長くは続かないはずだ。


だから、「普通」の自分を出して(もちろん前述したコツのようなものはあるが)、それが会社に拒否されれば、それは価値観が合わなかっただけで気にすることはない。


何度も言うが、日本の会社の新卒採用選考は実力試験ではない。そして、日本ほど、学生が就職しやすい国はない。新卒一括採用ほどありがたい採用方法は世界に類を見ない。だから、是が非でも、日本企業がこの採用スタイルを続ける間は、そこに乗っかるべきだ。

心を強く持つことの重要性


やり直しは、いくらでも利く

最後に言ったことをひっくり返すようだが、こんなことも指摘しておきたい。

別に就職に失敗したからといって、人生のやり直しは、いくらでも利くということだ。


自分のやりたい業種に片っ端から落とされてしまっても、人生どんづまりではない。既卒で来年また受けるもよし。それが不利だと思うなら、親に頼み込むなりバイトするなりして学費を捻出し(2単位のみを残しての意図的留年などは学費も勘案してくれる大学が多い)、再チャレンジするもよし。

昨年の失敗というキャリアがあるだけに、同じ轍は踏まない優位性がある。


あるいは、契約社員、あるいはアルバイトなどで、とりあえずその業界に潜り込んでしまい、誰よりも仕事して実務能力を鍛え、その会社の正社員への道を探る。あるいは、中途採用に挑戦するコースもある。

実務能力さえ高ければ仕事は必ずもらえるから、いっそ、フリーランスとして独立してしまう手だってある。

キャリアパスは、いくらでもある

つまり、自分で「絶望だ」とばかりに被害者ヅラをして、人生を投げてしまわなければ、就職活動→新卒一括採用というルート以外にも、いくらでもキャリアパスは開けていくのだ。実際、私はそんな人をいくらでも知っている。

 

よって、就職に失敗した学生さんは、気を落とさないで、「次にどうするか」を考えてほしい。道は必ずある。

また就職活動中の学生さんも、この会社がダメでも前述したとおり、相性が悪かっただけだと振っきって、すぐに、はい次、はい次と視点を切り替えていただきたい。

  

心を強くもってください。陰ながら、応援しております。

<関連図書>

 

 

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佐藤 留美

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